
今回実施した実践授業の指導案の内容を以下に示す。
題材名:幼児の保育
社会の急激な変化に伴い、都市化、核家族化、小家族化などにより保育を支えるネットワークが急激に弱まるとともに、 社会の連帯感の希薄化や遊び場の減少、テレビゲームの急速な普及、 さらには危険な食品添加物を使用した市販のおやつの増加など、 幼児を取り巻く環境の悪化が指摘されている。
また、食や環境の変化が最も影響を及ぼしているのが、子どもの身体だと言われる。 なぜなら、かつては大人の病気だったアレルギー、肥満、視力低下、ガン、 生活習慣病など今まででは信じられないような病気が子どもの身体を侵し始めているのが現状だからである。
このような状況からみて、これまでの知識や技術の習得を中心とした「保育」領域の指導を改め、 「幼児と環境とのかかわり」に重点を置いた取組が重要になってきていると言える。
しかし、幼児がいる家庭はごくわずかで、中学生にとっては幼児と身近に接する機会が少ない。 また、年齢的にも保育に関する興味・関心も高まりにくく、 幼児の健全な成長発達について考えさせることは難しいのが現状である。
そこで、単に資料を通した学習だけでなく、幼児の生活の中で環境の大切さを気づかせるとともに、 保育する際に地域性を加味した環境保全を視野に入れた生活様式を確立しなければならないことを明確に押さえられるような、 観察や実験・実習などを多く取り入れ、生徒が自分の体験を通して考えたり、 意欲的に問題解決学習を進めることができるような指導の工夫が必要である。 そうすることにより、生徒の多様なものの見方や考え方について、いろいろな場面でその良さを見いだし、受容し、 認めていくことで、個性や創造性を育てるための道筋をたどっていきたい。
また、自己理解を深めるこの時期に、グループ活動や実践的・体験的学習の中で、 子どもの成長のすばらしさに気づかせるとともに、健全に成長するための保育の重要性や家族のあり方を考えさせたい。
一方、幼児の発達と環境との関係については「家庭生活」領域との関連を図り、 幼児の食生活や衣生活については「食物」領域や「被服」領域との関連を図るというような、 系統性のある環境教育を実践していきたいと考える。
現在の自分自身を見つめ、自分の成長発達を振り返ることによって、幼児への関心を高め、 人として育てられることの重要性を理解させる。
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| 幼児の心身の発達の過程と特徴を学び、健全な発育発達のために、 さまざまな環境が影響を及ぼすことが分かる。 | 知識・理解 |
| 心身の発達と遊びや遊び道具とのかかわりについて知り、 幼児の遊びを中心とした生活の特徴と生活習慣の型式の過程を理解させるとともに、 発達を助けるような遊び道具の製作計画を立て、製作活動を通して、 幼児への関心を高める。 | 関心・意欲・態度、創意工夫、技能 |
| 幼児の発達に応じた栄養・食品・調理を知り、幼児食の特徴を理解させる。 また、望ましいおやつとその与え方が分かり、幼児の食生活を通して、 食を取り巻く環境について考えるとともに、エコクッキングが実践できる。 | 関心・意欲・態度、創意工夫、技能 |
| 幼児服の特徴が分かり、簡単な幼児服を製作することによって、幼児を理解させる。 | 関心・意欲・態度、創意工夫、技能 |
| 幼児の健全な発達・成長過程と社会の環境と密接なかかわりがあることを理解し、 これからの幼児の保育への関心を深めさせる。 | 関心・意欲・態度、知識・理解 |
第3学年(本実践授業担当学年)では、第2学年の時に「食品の選択と購入」において加工食品の表示やマーク、 食品添加物について履修しているため、食品添加物の理解度の調査では、「調味料」では26品目、「着色料」では20品目、 そして「保存料」になると13品目と、身近な食品に多く使われている品目数順になり、 他の食品添加物名もよく理解していると言える。 また、食品添加物を多く含む食品を食べ続けると心配であると、答えた生徒は全体の60%で、 その理由としては「病気にならないか心配である」や「栄養のバランスがとれない」などと、 「健康と食」を結び付けていることが分かる。
一方、食生活に関する生活環境への取組の実態を見てみると、 生活排水については環境保全を考えて実践している家庭ばかりではない。 また、生ごみの処理については、コンポストに入れて肥料として再利用したり、 土の中に埋めたりしている家庭が全体の約70%を占めているということは、 純農村地帯であるという地域性が浮き彫りにされた。
これから生きていく上で困る環境問題についての調査結果を見てみると、 理科などでも既習したいわゆる、地球規模での環境問題の回答が上位を占めている。 第1学年の時に学習した「地球をとりまく環境」については、生徒の興味・関心は高く、 環境を守るためにできることから実践していこうとする前向きな意欲が見られたが、 生徒達の普段の学校生活を見ていると、ごみの分別収集などは徹底してきたものの、調理実習の際に洗剤量を守ったり、 油を流さないように気をつけたりするなど、一体どれだけ河川汚濁に気をつけているか疑問である。 また、昼休みの歯磨きの時に必要以上の歯磨き粉や水道水を使用し、教室移動の時には電気をつけ放しにしたりと、 自分の日常生活と結び付けて実践していないのが現状である。 つまり、健康で快適な生活を営んでいくためにはどうしたらよいのかを考え、 自分達の足元から進んで行動していこうとする能力と態度は、まだ十分には育っていないと考える。
幼児のおやつを含めた食品の選び方については、栄養のバランスが第1位で、 品質や鮮度の良さ、食品添加物の少ない食品が望ましいと続く。生徒達が決めたおやつを見てみると、 これらのことや対象児を考慮し、また自分の家庭で収穫された果物等を使用したりして決めた班が多い。
指導計画(括弧内の数字は授業時間数)
テーマ:幼児のおやつ作りを通して食環境を考え、エコクッキングを実践していこう!
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| 学習課題の確認 |
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各自の学習課題を確認する。 | 前時に立てた各自の学習課題一覧表を見せることにより、学習意欲を喚起させる。 | 課題一覧表 | |
| 班ごとの実験や調べ学習 共通課題の調べ学習 |
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エコクッキングの意味について確認する。 課題一覧表を元に食環境に視点を置いて、おやつを作るための実験や調べ学習を行う。 これまでの自分の考え方や方法にとらわれず、いろいろな情報源を見つける。 |
エコクッキングとは、買い物から、調理、食事、片付け、ごみ処理(リサイクル)までのすべての過程である。 それらを科学的にとらえるための実験等を行うことを説明する。 自主的な学習活動ができるような情報源の整備・提示の工夫をする。 机間巡視をして、つぶやきや驚き、疑問の声を大切にして対応する。 また作業がつまずいている生徒には指導助言する。 「家庭生活」や「食物」領域で既習した事を想起し、学習意欲を高める。 他のグループの実験や調べ学習も参考にしながら友達と学び合ったり、喜び合ったり、励まし合ったりする。 @食の安全性(保存料・亜硝酸塩の検出実験)油の処理、輸入食品などの食材について Aポストハーベストについて、水道水の問題、合成着色料の検出実験 B生活排水(CODパックテスト)食の安全性(地域で収穫された食材を利用したおやつ) Cリサイクル(たまねぎの皮からの染色)、生ごみの再利用(コンポストの原理実験)、油の処理 |
・学習カード
・食品の表示 ・はかり ・肉加工品 ・試験管 ・試薬 ・ビーカー ・ピペット ・鍋 ・オイルポット ・雑誌、新聞記事 ・白毛糸 ・食酢 ・CODテスト ・パックテスト ・スクレーパー ・おろし器 ・ロート台 ・種菌 ・洗ビン ・ストップウォッチ ・ヒントカード ・温度計 |
自己解決のため、さまざまな資料を活用しながら調べ学習や実験ができる。
食環境を考え、エコクッキングのための工夫が見られる。
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| 調べ学習の発表 |
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生産、消費、廃棄そしてリサイクルを通して実践するエコクッキングにおいて、 自分達で調べたことや共通課題の発表をし、調べ学習の結果を共有する。 |
ごみ・エネルギー・洗剤は、地域性を生かした共通課題のコーナーを設置する。 食を取り巻く環境の問題点やその改善策を自分達で調べ、 発表し合うことにより、互いに学び合えるようにする。 |
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| 家庭生活における実践の計画 |
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健康で快適な生活を送るために、エコキッキングにおいて自分達の家庭生活で実践できることをまとめる。 |
健康で快適な生活を送るためには、足元の家庭生活から行動していくことが大切であることを押さえる。 |
学習カード | |
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おやつの実習計画の見直し 発表 |
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今日の学習から学んだことを自分なりにまとめ、前時に立てたおやつの実習計画を見直し、計画表を完成する。 |
本時の食環境に視点を置いておやつづくりの計画を立てたことをもとに、 前の実習計画を見直すことができるようにする。 他の人の発表と自分の考えを比較し、よい考えは取り入れる。 よいアイディアや熱心に取り組んだことに対して賞賛する。 |
実習計画表 学習カード |
幼児のおやつ作りの実習計画を見直すことができる。
≪関心・意欲・態度≫≪創意工夫≫(発表・学習カード) |
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まとめと自己・相互評価 次時の予告 |
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本時の学習をまとめ、自己および相互評価する。 次時の学習内容を知る。 |
本時を振り返らせ、次回の実習意欲へと結び付ける。 次時は、幼児のおやつをエコクッキングすることを伝える。 |
学習カード |