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はじめまして
本研究会は, 教育学部家政教育教室の 佐々木和也(生活情報学)と清水裕子(被服学)が運営しています。 研究会では,里山で受け継がれてきた日本人の感性を考究し, 里山とのかかわりから『ものづくり(染織)』を通して, 自然と人の在り方をみつめる地域環境教育ネットワークの構築 を目指しています。 興味関心がございましたら,どのような形でも関わっていただけますので, ぜひ事務局までご連絡ください。
日本人にとっての里山
里山ってどんなイメージをもっていますか? 広辞苑によると, 「人里近くにあって人々の生活と結びついた山・森林」と解説されています。 人里(集落・農地)に必要な物資を得るための林ということになります。 近年では,里山・農地・集落を含めて里地とよばれることがありますが, 里山ほどなじみのある言葉ではありません。 本研究会では, 主として農山村地域の人々が生活のために, 日常的に関与しうる二次的な自然空間を里山と呼ぶことにします。 また,里山・里地・里川・里道など厳密な言葉の定義よりも, その全てが私たちの生活と共に存在するという事実を尊重したいと思います。
田中淳夫氏の著書『里山再生』(洋泉社・2003)によると, 里山とは二次的自然であるとしたうえで, 里山をシステムとして捉えられています。 つまり, 日本人が里山を管理・保全するという自然と対峙する立場ではなく, 里山の一つの要素として存在し, 自然との共生を長きにわたり維持してきたと考えられます。 人間が原生自然の一部に適度に関わることにより, 新たに生み出される生命豊かな自然のことを私たちは里山と呼んできたのです。 それは日本人にとって, どこか懐かしさや愛しさを抱く原風景なのです。
繊維がひと・もの・いのちを結ぶ
こんなに大切な里山が今失われようとしています。 原因は農業の衰退の他さまざまですが, モノの豊かさを追求する現代の大量消費社会において, 「生産者」と「消費者」とに分断されたことが大きな問題といえるでしょう。 モノをつくる,修理あるいは再利用してモノを最後まで使いきる… 少し前まで当たり前だったことが非日常化しつつあります。 流行や利便性のみを追い求め,お金さえ払えば無限であるかのように錯覚してしまう。 これでは,ヒトとモノの関係が希薄化する一方です。
私たちは生きている限りモノを「消費」しなければなりません。 里山システムから学ぶべきこと。 それは「ひと」と「いのち(自然)」は対等であり, 里山の自然から受ける「もの」もまた同等の「いのち」があるということです。 日本には,このような日本的な自然観にもとづいた手仕事が数多く残っています。 なかでも染織に関する技術の歴史は長く, 繊維は私たちの日常生活になくてはならないものです。 そこで,栃木県に馴染みの深い藍や麻を栽培することで里山再生を展開し, その恵みで糸を績み,布を織り,草木で染め,大切に使う。 これらの関わりを通して, ひと・もの・いのちを繋げる環境教育を模索していきたいと思います。